老いぼれエンジニアには隠す爪がない

この時代に老いぼれを見たら、「生き残り」と思え…!

イクメンへの道

最近すっかり死語ですが、育児に熱心な父親のことを「イクメン」というそうです。

そして最近、父親として育児に上手にかかわるノウハウ(ライフハック)的な記事が増えてきているのですが、どうにもむずがゆいというか、ずれている感じを禁じずにはいられません。

私自身3歳の男の子の父親で、一応「自称」イクメンです。お世辞にも上手に育児にかかわれているとは自慢できませんが、できたら息子にとっていい父親でいたいという気持ちが強くありますので、そういうライフハック記事をつい読んでしまうのですが、どれも的外れな気がします。

原因は、その記事を書いている父親自身にあります。聞いても答えが得られるかどうかわかりませんが、あなたの父親はあなたががイメージしている「よい父親」でしたか?という質問をしてみたいのです。

息子のロールモデル(お手本)は父親です。したがって、父親がいい父親でない限り、息子はそれを踏襲するのが一般的です。

いい父親でないというと強権的な父親、DVを振るうような父親をイメージするかもしれませんが、これは「悪い父親」です。いい父親でないというのは、端的に言うと存在感のない空気のような父親のことです。

たとえば、高度成長期のバリバリサラリーマン、家には寝に帰るだけという父親。週末はエラソーに会社での自慢話を食卓でしたりはしますが、育児は全く母親に丸投げ。金を稼いでくるしか能がないというのが典型的な父親像でした。

「亭主元気で留守がいい」という流行語もこのころ流行りました。

こういう家庭が30年〜40年くらい前は一般的だったわけですが、このような家庭で生まれ育つと、「いい」父親とかいう以前に「父親」というものが全くイメージできない男の子が育つことになります。

実質的な母子家庭に変わりはありません。むしろ、母子家庭では母親が意識的に父親役も演じていることが多く、「父親がいるけど存在感がない」家庭に育った男の子よりマシなことが多いくらいです。

さて、そうやって育った男の子が父親になり、果たしていきなり「いい父親」になれるでしょうか?私は難しいと思います。空手入門したての人がいきなり黒帯に挑戦するような無謀さを感じます。

こういう、自分の生育環境的なディスアドバンテージに目を向けたイクメンのライフハックはそうそう見当たりません。面白くないからかもしれませんけど。

とおりいっぺん「妻に気配りしましょう」「家事を手伝いましょう」・・・。どうやったら気配り出来るかわからないのに?パンチの概念を知らない人に上段突きとか下段突きとか言ってもわかるわけはありません。

まずは、自分が育った家庭が機能不全であったと認めるところから、イクメン道は始まると私は思います。