Photo bysuperUbO今回のpaiza開発日誌は片山がお送りします。SIerについて語られる際に「人月商売」についての問題点が良く取り上げられますが、...
ITエンジニアの価値を貶める『人月商売』の功罪 - paiza開発日誌うん、まあ、浅い認識ですね。。。最近、この手のツッコミばかり書いている気がするけど、まあ、...
最近、paiza開発日誌とプロマネブログの間で小競り合いが続いている。
基本的には
paiza開発日誌ではSIerは悪。
プロマネブログはSIerは善。
という前提なので、両者が折り合うことは無い。
そもそも、スタートアップ・ベンチャー系のpaiza開発日誌と、プロマネのオッサンの会社のようなバリバリの老舗SIerでは立ち位置が異なる。
日本では、古来
大手SIer > 中小開発業者 > ベンチャー・スタートアップ
というヒエラルキーが存在し、客(主に官庁や大手製造業など)は大手SIerにしか仕事を依頼しなかった。俺が在籍した大手製造業も自社開発なんてほとんどしていなくて、細々とシステムを内製していた情報システム部すらしまいには大手SIerに切り売りされた。
大手SIerにしか仕事が無いならなぜ中小開発会社やベンチャーが存在しえるのか?大手SIerが請けた仕事を全部さばききれるわけではない。なので、下請けに出すのだ。下請けに出すといっても、わけのわからない会社には出さない。特許庁の事件があった今ではなおさらだろう。今でも、関西などでは「大手SIerや製造業からの一次受け」というのをウリにしている開発会社は少なくない。
ただ、下請けに行くにしたがってマージンが抜かれ、単価は下がっていく。
俺は関西の小規模SIer(社長は元CSK)に面接に行ったことがあるが、「人月単価が50万円なので、正社員は25万円しか出せない(経費がかかるので)。それ以上出せば俺が赤字だ」と断言された。
プログラマの実力など無関係、1人月=50万円という公式が給与算出の基準なのだ。
そんな莫大な給料をくれというつもりは無かったが、プログラミングという常人にはなしえない高度な頭脳労働をできる人材に新入社員以下の給料で働けとは、なんと夢の無い業界だと思った。
月給25万円は年収300万円を切る(その当時の俺の年収は600弱だ)。その社長自身、出世競争に敗れたという理由でCSKを辞めたことを少し後悔しているようだった。
齢40にしてITエンジニアとして再出発しようとした俺は出鼻をくじかれ、関西でITエンジニアとして生きるのは難しいと思った。で、企業の内製開発が今後のトレンドかなーと思った。そして今に至る。
関西には仕事を横流しするだけでプログラムをひとつも組まない「システム会社」だってあるのだ!(100万円で請けて90万で下請けに出せば、それだけで10万円儲かる)
ヒエラルキーの頂点に君臨している大手SIerはまだいい。
だが、そこに入り損ねたというだけの理由で、実力のあるITエンジニアが二次請け、三次請けで安月給に甘んじなければならないという現状は、おかしかないか?というのが、paiza開発日誌の俺流解釈だ。
それに対する答えを、プロマネのオッサンは出せているのだろうか?
SIerとして社会にコミットしている。それはよくわかった。
だが、次の世代の人材を育めているのだろうか?
SIerの社員もどんどん高齢化する。上述のCSKをやめた零細SIerの社長じゃないが、リストラをしない限り人件費はどんどん高騰することになる。
そうなってくると、どこにしわ寄せが行くだろうか?
そう、入社したての若者だ。「NTTデータという会社に就職できただけでも誇りに思え」といわれ、毎日安月給でデスマーチ。下請けにも「NTTデータからの直請けというだけで誇りに思え」といわれて値切られ、毎日安月給でデスマーチ。
問題として指摘されているのはそこだろう。
SIerが社会にいくらコミットしていても仕方が無い。
ユニクロの社長が「お前のところはブラック経営だ」と揶揄されているのに「皆様に安い服を届けて、社会にコミットしているんです!」といっても言い訳にならないのと一緒の話なのである。
社員や下請け・協力会社を幸せにできない会社に人類を幸せにすることなどできない。