だいぶつのブログ

いまさらなことをいまさらに語ります

免許のコピー拒否を理由に契約を断れるかと言う話

バイトでレンタルビデオ店や携帯ショップで働いたことがある程度のキャリアをもっている、と言った程度の生半可な法律知識しかもっていない人が、こんな風に勘違いしていることがある。

契約は2者間の自由意志に基づいて行われるものなのだから、どちらかが気に入らなければ一方的に断ることができる

実際そういう運用が放逐されていることも多いからたちが悪いのだが、昨今このような議論があった。

免許のコピーを断る自由が客側にはある

→免許のコピーを断られたら契約を断る自由が店側にある

民法の思想は契約自由の原則と言って、契約は2者間の合意があれば自由に決めていい、と言うのがある。

ただ、ここでいう「自由」というのは契約に関係のある自由であり、契約に関係のないことまで自由に決めても良いとはならない。例えば、店側が「素っ裸の写真を提出すること」と言う条項を取り決めたとする。これに、従わなければならないか?

当然であるが従う必要はない。

ここの契約自由の原則で言うところの、自由に取り決めていいと言う条項は、当然ながら当該契約を遂行する上で必要最小限かつ、合理的な理由のあるものに限られる。

たまに、ブラック企業などが「解雇なんて簡単だ、何か理由を付けて懲戒解雇にしてしまえば、退職金も払わなくてよい」とか言っていることがあるが、これが難しいのと理屈上は同じである。

雇用も、契約の一種である。就業規則が契約書である。例えば、「飲酒運転したら懲戒解雇」と就業規則に書いてあっても、裁判で解雇無効の判決が出た例がたくさんある。この場合、社会通念上、懲戒解雇に合理的と見なされる理由がなかった、と言うことが解雇無効の原因である。

日本社会の「契約書」「規約書」のたぐいには、このように法律を知らないのか、知っていて知らない振りをしているのか、「非合理的」な条項が存在する。

携帯ショップで免許証のコピーをとることが契約遂行上合理的か否かについては議論が分かれると思うが、私は現時点では合理的であるとまでは言えず、従って免許証の提示は「善意」であると考えられ、提出拒否は契約拒否の合理的理由とはならないと考えている。

2014/9/16追記

犯罪収益うんちゃら法がどうのと言う話をその後見かけた。

マネーロンダリングやら口座の転売を防止する意味で、個人情報を確認するよう警察から指導が入っているというのも事実であろう。

だがその法律の目的はいったいなんなんだろう?暴力団などが不当に携帯を入手したり口座を作ったりすることを防ぐのが目的ではないのか。

店員が「免許証提示しないなんてけしからん!」と言う理由で、契約拒否の理由に使うのであれば、その人が免許証を提示しないのは何か犯罪とかかわっているからだ、と言うことを示さない限りにおいてはとても失礼なことではないだろうか?

善良な一般ピーポーの個人情報を集めるのが目的なのか?何か目的と手段が入れ替わっていて奇妙な感じだ。戦前の治安維持法的な雰囲気を感じてしまう。