太陽光などの再生可能エネルギーをいっぱいつなぐと、大停電が起きるというわけですけど、まあ、うさんくさい話です。
確かに、ニューヨークでは大停電が起きましたが、その原因は再生可能エネルギーではなく、電力自由化です。いまの日本のように、太陽光の電機を売るにも九州なら九州電力意外に売り先がいないような状態を「自由化」とは言いません。
本当の意味で自由化されていないのだから大停電も起きる由はなく、今回の発表がある前から「水際作戦」みたいに処理をわざと遅延させる(役所の得意技ですね)というのは九電管内では頻発していたようですし。
ニューヨークみたいに、大停電のひとつでも起こしてから言えば説得力もあるのですが。首都圏に比べ消費電力の少ない九州なのだし、住民ものんびりしてるのだから、48時間くらいいっぺん停電させてみるのも面白いと思うのですよ。
九電は32年度までに700万キロワットの導入を見込んでいたが、現在、再生エネは契約申し込みの段階で出力1260万キロワットに達したという
つまり、1260万ワットというのは「申し込み」だけで、まだつながれていません。
工事期間は九電の仕事がとろいので書類の手続きに死ぬほど時間がかかり、実際に全部が施工されるのは1年以上先になるでしょう。なので「いまただちに大停電の原因になるか」というと、全くなりません。
実際のところは、九電の書類処理能力のキャパを超えてしまったので一度休ませてくれ、というところが大きいでしょう。これを原発再稼動につなげる議論には、ハッキリ悪意を感じます。
再エネの買取は「賦課金」によって賄われるので、九電にとっては全く懐が痛みません。電源系統安定化についても、JETという組織による世界一厳しい基準に合格しない機器は死んでも電源系統につながせてもらえません。JETの規格の厳しさは、他国の10倍以上厳しいということだそうです。(その分、日本では他国では安いパワーコンディショナーなどがとても高いうえ、海外製の高性能かつ安価なものは使えません)。
需給バランスの崩壊は周波数の乱れを招く。九電は既存の火力発電の出力抑制などで対応するが、周波数が乱高下すれば、半導体など精密機械の生産現場では不良品が続出することになる。そればかりでなく、発電所の発電機に負荷を与え、連続的な大規模停電(ブラックアウト)さえ引き起こす事態となる。
これは、「アンシラリー」という電力を安定させる装置を導入すれば解決します(バッテリーなどをつないで出力変動を吸収する、クルマで言うとサスペンションみたいなもの)。
ニューヨーク大停電も、その後のアンシラリー市場の自由化と業者参入によって、解決しています。
しかし、日本では電力会社以外にはアンシラリーをする権利がありません。独占市場です。電気代にアンシラリー料が実は乗っかっています。新電力などが電力会社の電線を通じて電気を売る場合「アンシラリー料」というのを取られます。
見えにくいですが、これが寄生産業になっていて、そしてこれを既成産業にしているせいで、アンシラリーは電力会社のみに頼らざるを得ない状況があり、再生可能エネルギーによって電源系統が不安定化する要因になっているのです。
つまり悪いのは中途半端な自由化であって、再生可能エネルギーではないわけです。
今日はちょっと難しい話になってしまいました・・・。