老いぼれエンジニアには隠す爪がない

この時代に老いぼれを見たら、「生き残り」と思え…!

プロブロガーの記事に読み応えがない理由は簡単。人生経験が薄い人間の書く文章は薄い。

まあ、なんだ。こういうキャッチーなタイトルが最近はやりみたいなんで、つけてみた。20年位前に習った「論文のタイトルは簡潔に!」みたいなことが染み付いてていかんねおじさんは。

個人名の特定は避けますが、イケダハヤトとかイケダハヤトとかイケダハヤトのせいで、将来多き若者がプロブロガーなんてしょうもない職業(?)を目指すようになったのは大いに憂えるべき事態ではないでしょうか。おお、職業選択の自由。

イケダハヤトの記事は突っ込みどころが多くて、最初のころは好きでした。まあ、いわばサンドバッグ。本人も「炎上態勢耐性」がそこそこあるみたいなんで、安心して叩けるいい素材でした。

とはいえ、もう賞味期限切れ。最近はどんなコンテンツでも消費されるスピードが急速に上がってしまってますが、イケダハヤトはもはや賞味期限切れのコンテンツとなってしまいました。実際、PVもダダ下がりじゃないでしょうか?(知らんけど)

文章を書く上で重要なのは誰が書くかではなく何を書くかであると言うことを、私は教わりました。無論、「イケダハヤト」というひとつのコンテンツが消費される前であれば、「イケダハヤトの書く文章」と言うものにも一定の価値がありました。しかしそれがすっかり消費しつくされてしまった後は、「文章の中身」が重要となってきます。文章の中身は、某作家によれば「人生の切り売り」だそうです。人間は、それまでに経験してきた以上の内容の文章を書くことはできないのです。だから、最近のイケダハヤトはつまらないのです(あ、前から?)。

なので、人生経験が大事だと言うことになります。たとえば、最近ひそかにPVを集めているのがギャンブルや風俗といったジャンルの独白系コンテンツです。ちょっと前だと投資とか外資とか海外生活とか。パーマネントトラベラーとかフリーランスとかもその類ですが、つまりは「非日常」を人は常に求めています。なので、「人がしたことがない経験を持っている」と言うことは、すなわちそのままコンテンツになるのです。(e.g. 「私はSTAP細胞を見た!」)

その原則から行くと、会社生活1年もたずにやめてプロブロガーなんてのは、まあ非日常には違いないけど、誰もが追体験したいようなことじゃないし、人様にえばれるようなことでもない。私も入社1年目に「こんな会社辞めてやる!」と言い続けてましたが「石の上にも3年」と諭され、結局20年も勤めました。何が残ったかと言うと「サラリーマンとしての経験」が残ったのです。

サラリーマンをまともにやったことがない人にはわからないかもしれないけど、20年間カメのようにサラリーマンをやってきたことには、一定の価値があるものなのですよ。労働組合、連合、経団連。ミタライのジジィふざけんな。なぜミキタニ君が日経連新経連を作ったのか。サラリーマンじゃなきゃまったく理解できないでしょう。そういうコンテキスト的なものが理解できるようになり、ニュースの字面的なものだけではなく行間的なものもだんだん読めるようになってきて再びコンテンツの生産ができるようになる。経験と生産の好循環を生まない限り、いつかは中身がなくなる。

どんな優秀な起業家(e.g. スティーブ・ジョブズ)も、最終的にはサラリーマンの助けなくして事業を拡大できません。そして、良くも悪くもいまの日本を動かしている連中、それはサラリーマン(公務員も含む)上がりなんです。フリーランスは一生かかっても日本を動かす位置にはいけない。それが「日本株式会社」のシステムなのだから。それが面白くないのはわかります。ですけど、サラリーマンになれる立場を棒に振って、一時の感情でレールから降りた人間にはそれを批判する資格はない。

それでも尾崎豊みたいに東大一直線のレールから飛び降りてミュージシャンになってメッセージ性の高いコンテンツを大量に生み出すとかならわかります。最近のプロブロガーたちから感じるのはそんな立派なものではなく、醤油を水で10倍に薄めたような、内容があるかないかわからないようなコンテンツと呼ぶのも忍びないような駄文を量産するだけ。その駄文すらゴーストライターに書かせている(しかも自慢げに)とか。なんじゃそりゃ。メッセージ性よりもマネタイズ。要は金がほしい。そしてPVが落ちたら煽り、SEO、セルクマ・・・。

私は会社で商品企画していましたが、宣伝ももちろん大事だけど、中身がないものはいずれ消えると習いました。ソウルが大事です。以前ブコメでも書きましたが、「プロブロガー」VS「リーマンブロガー」とか言ってますけど、無意味。中身がなければいずれも消えます。3年後には「プロブロガー」なんて言葉は、みんな忘れ去っていると予言しちゃいます。

なにもリーマンブロガーがバカにされたから怒ってるわけじゃない。私は肩書きで人を判断する人間じゃないので(それは賢い人間のすることではないと、これもサラリーマンの経験を通して学んだことです)、イケダハヤトが面白いことを書いたら素直に面白いと言います。

要は、順番が間違っているのですね。経験をためて、取材をして、知見を高めて、そしてコンテンツを生み出す。結果、だいぶ遅れるけどお金になって戻ってくる。それが本来あるべき姿じゃないですかね?ゴッホが生涯、絵を売って得た収入は5フランですよ。いまいくらで売買されてますか?真に価値のあるコンテンツなんてそんなもんでしょう。金を貰うことを先に考えていて、そんな立派なコンテンツになりませんて。

まあ、海外放浪、ミナミのドヤ暮らし。何でもいいから経験することです。文章を書くのはそれからです。