老いぼれエンジニアには隠す爪がない

この時代に老いぼれを見たら、「生き残り」と思え…!

ITフリーランス必見!会社設立で実現する節税と社会保険料削減の戦略

以前、ITフリーランスが会社を設立するメリットについて書きましたが、いくつかメリットを取り上げて書いてみます。

社会保険料の削減

法人の場合、税率はだいたい30%前後と覚えておくと良いと思います。

個人の税率は累進課税になっていて、5%〜55%となっており、日本の中流サラリーマンであればだいたい20%とかくらいに思われているようです。

20%というのは本当なのですが、実際には罠が隠れています。それが社会保険料です。 社会保険料は「税金ではない」というのが建前なので、税率に含めずに書かれていることが多いのですが、額面年収(標準報酬月額)の30%もしょっぴかれています。

30%のうち15%は会社負担なので、個人はあまり意識していませんが、会社負担分を含めなくとも税金20%と合わせると35%しょっぴかれていることになります。 財務省が頑なに社会保険料を税金に含めようとしないので、最近では 総合負担率 などと表現されます。

法人は社会保険料を負担せずともよいので、前述した「30%前後」というのが総合負担率です。 また、一人法人の場合上述した「会社負担分」の15%も自分が負担しているようなものなので、まるまる30%しょっぴかれることになり、トータルでは50%くらいの総合負担率となります。

したがって、法人の場合 できるだけ役員報酬(社長の給料)を下げたほうが、総合負担率が減る ということです。

ここで「ゼロにしちゃう」というライフハックを誰もが思いつくと思うのですが、これは得策ではありません。 この場合、国民健康保険+国民年金に入る必要が生じるためです。これだと、最低でも月2万ほどは負担が生じます(扶養家族がいる場合、もっと増えます)。

なので、最低62,500円程度は役員報酬を支払い、協会けんぽ(健康保険)に加入するのが得策です。この場合の保険料は月額23,000円ほどです(会社負担分含め)。 最低限の役員報酬の場合、保険料は国民健康保険+国民年金と変わりませんし、専業主婦の妻や子供は「保険料タダ」です。国民年金は専業主婦の妻も月1.8万円ほど取られますので、専業主婦の妻がいる場合実質国民年金の半分の負担です。

会社に蓄積されたお金は、退職金の形で将来的に受け取ると大きな控除がありますし、社会保険料にも影響しません。ただし、小規模企業共済やiDeCoを併用している方は、退職所得はそれらと合算になるため注意が必要です。個人的な展望としては、iDeCoや小規模企業共済は年金形式で受け取るのが良いかな?などと考えています。

ただ、会社のお金を「税金を発生させずに個人に移転」するのは意外とテクニカルなので、(社会保険料はもったいないのですが)ある程度適当な役員報酬を支給しておくのが、長期的には楽でしょう。(個人的な目安は平均月間売上の半額程度) 子供に財産を残したい場合、会社にお金を残したままで経営権を譲渡すればほぼ非課税ですので(よほどの資産がない限り)、会社にお金を残しておくのも良いと思います。

最近ITフリーランス向けに国民健康保険を安くするサービスなどが登場しているようですが、「どこかの会社の従業員」になる体を取って、保険料をその会社に支払い、会社が社会保険事務所に保険料を払う、といったスキームと思われます。 社会保険の制度の主旨に沿っていないように思われますし、政府公認というわけでもないようなので、だいぶつ個人としてはおすすめしません。ただちになくなるということはないと思いますし、手が後ろに回ることもないでしょうが、こういう制度の隙をついたようなものは割とすぐに対策されて使えなくなることが多いです。

役員社宅

「住まう」ことは生きるうえで必要不可欠なことであり「生きていない限り」なんの業務も実行できないのだから、「住まう」ことに対して何らかの税控除があってしかるべきと思いませんか?

日本の税制には不思議なことに「住まう」ことに対する税控除がほぼ皆無です。なぜ通勤交通費は税控除の対象になるのに、住居に関してはなんの控除もないのか?全くもって理解できません。これはサラリーマン時代からずっと思ってきました。

未来を予想するいちばん簡単な方法は、それを作ってしまうことだ

アラン・ケイ

ということで住宅控除に近いものを作るのが、法人における役員社宅です。

理屈は簡単で、会社が家を買うなり借りるなりして、役員に貸す、ただそれだけです。

このとき、役員から会社に「社宅費」つまり家賃を納めます。借りてきた値段そのままで貸したら意味がないので、それより安い値段で貸すのです。例えば、10万円の賃貸を3万円で役員に貸すのです。

この家賃の金額は「固定資産課税標準額」を元に決定します。この台帳は、賃貸でも役所に言えば取り寄せられますし、役員社宅を貸してくれる大家さんに聞いてもだいたい見せてもらえます。

課税標準額は固定資産税の算出に用いられる額であり、国税庁が「適正な家賃」を決定するのに参照すべきとしている値なのですが、実際に計算してみると家賃より大幅に安くなることが多いです。

このブログでは詳細までは取り上げませんが、このやり方で実質7万円の住宅手当を「非課税」「社会保険料の算出にも用いられない」形で役員に供与することがかのとなりました。

上述した通り社会保険料は30%も取られますので、ざっくり2.7万円の社会保険料削減、かつ役員社宅の借り入れ家賃は全額損金計上できますので、法人の税金も減らすことができるのです。

本当は住宅に対して何らかの税控除があったほうがずっといいのですけど、日本の場合そのあたりの福利厚生は企業頼みなのでこういう制度になっているのでしょう。我々としてはせいぜい活用するしかないですね。

おわりに

あくまでこの記事は一般的な情報を提供するものであり、個々の状況に応じて専門家に相談することをお勧めします。